子どもの頃、私の秘密基地にはサイレンがたくさん置かれていました。家に隣接する、祖父の創業したサイレン工場。その頃の私にとってもしかすると、一番居心地の良い場所だったかも知れません。
このような環境で育った私にとっても、「うるさいモノ」としか思えなかったサイレン。
私自身は柿木家の次男として生まれたものの家業を継がず、いち社会人として企業に勤め、多くの経験を重ねていきました。ただ、日本中で頻繁に起きる自然災害を目にし、時には家業(サイレンメーカー)を見直す機会も幾度かありました。
そんな中、昭和3年の創業以来、先代たちが自らの手を動かしながら改良を重ねた技術が、多くの命を守ってきたこと、そして今なお多くのお客様からの支持を得ていることが現在の阪国電機の礎をつくっている、ということにも、年齢を重ねることにより気づかされました。
そういった思いもあり、私は、2009年に祖父の遺志を継ぎ阪国電機に入社しました。
祖父や父が築きあげてくれたこの会社をベースに、自身の経験と知識を活かし、さらに企業価値並びに製品価値を高めることで、今後も「多くの命を守る企業」として存在し続けることが私の使命である、と感じています。
私たち阪国電機には、いくつかの「こだわり」があります。
例えば、製品一つとっても、単に部材を他社から調達し、組み立てるのではなく、製品においては、設計はもちろん、搭載するモーターの、一つひとつのローターやステーターの手造りにこだわり、鋳造から旋盤加工、塗装に至るまでを自社内での製作で完結させています。このような自社生産体制があるからこそ、安定して製品を供給することができ、お客様のご要望への細やかな対応が可能になるのです。自社で研究・開発できるスキルが、暗黙知として蓄積され、私たちの技術力をさらに高め、製品の改良・開発に反映できている、と自負しております。
また、昨今騒がれている「地球温暖化」の影響による異常気象とそれがもたらすであろう大災害は、近年増加の一途にあります。今、このような時代だからこそ、私たち阪国電機は、その危険をいち早く人々に知らせ、安全を守る役目を担っています。何もない平常時には疎ましがられる大音量が、多くの人の命を救うのです。
「サイレンがあれば守ることのできるたくさんの命があります。」この信念をベースにこれからも社会への貢献を果たしていきたい、と社員一同、強く決意しております。
今後とも一層のご愛顧とご支援をお願い申し上げます。